概要
2000系 2000形は1958年に登場した日本海電鉄初の高性能ロマンスカーである。平行カルダン駆動、MM’ユニット方式、軽量構造車体など初物づくしの車両であった。中間に付随車を挟んだMTM’編成を組んでいたが、将来的に中間車を増結して全電動車編成を組むことが予定されていたと言われる。アジア太平洋戦争後の戦後復興がひと段落し、高度経済成長期に移行しつつあった1958年、輸送需要が増大しつつあった新潟-長岡間の本線急行列車のサービスアップと輸送力増強を目的として企画された。当時の私鉄電車界の流行を存分に取り入れているが、その実は他社にて既に駄目出しの済んでいるものを採用した現実的な車両である。1992年までに3500形に機器を供出して全車引退した。車体
車体寸法は先頭車・中間車ともに車体長18,000mm、車体幅2,730mm。構体はSS製である。前頭部は当時流行の湘南形と呼ばれる大型の2枚窓からなる柔らかな流線形となっている。前面窓には前頭部の形状にあわせて曲面ガラスを使用した。
側面には上段固定下段上昇の2段窓を2個1組とした2連窓が並ぶ。側扉として1,100mm幅の片開き扉が片側2か所ずつ設けられている。
内装
室内は転換式クロスシートが900mm間隔にて並び、戸袋部のみロングシートが置かれている。天井は丸天井。中央部に扇風機と通風器が並び、両側にカマボコ形カバー付き蛍光灯が配される非常にオーソドックスな構成となっている。
内装色は落ち着いた雰囲気の寒色系でまとめられている。天井がアイボリー、壁面が淡緑色、床面はグレーとし、扉は淡緑色に塗装されている。腰掛の表皮色は灰緑色とした。また、クロスシートには背ズリに布製の枕カバーを装着していたが、汚れやすかったことから1970年代にビニール製の枕カバーへ交換されている。
台車
台車はプレス鋼板溶接組立の軽量コイルバネ台車である。台車枠は軽量かつシンプルなプレス鋼板溶接組立。保守的な太いシルエットの側梁が特徴的で、中央部には軽量化のための肉抜き穴が明けられている。枕バネは2列のコイルバネとオイルダンパから構成されるオーソドックスな揺れ枕方式。軸バネはウィング形軸箱守式が採用された。また、基礎ブレーキ装置として1台車4組のブレーキシリンダを備えた両抱き式台車ブレーキを装備する。なお、制輪子は鋳鉄製である。主制御器
2000形では1両あたりの機器搭載量の軽減をねらいMM’ユニット方式が初採用され、MTM’編成を組むことになった。主制御器は8M1C方式の発電ブレーキ付き電動カム軸・直並列多段抵抗制御方式である。主電動機
主電動機は75kW級の直流直巻電動機である。スペックは定格出力75kW、定格回転数2,000rpm、端子電圧340V。駆動方式は中空軸平行カルダン方式、歯車比は中高速域での加速性能向上のために5.25に設定している。
ブレーキ装置
ブレーキ装置は常用ブレーキとして発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ(HSC-D)を初採用した。気象条件によらず安定した制動力を得られる発電ブレーキは乗務員から歓迎された。また、非常ブレーキとして自動ブレーキを、更に直通予備ブレーキを持つ。乗車人員の多寡にかかわらず一定の制動力を得られるように応荷重装置を搭載している。補助機器
空気圧縮機について容量760L/minのものを備える。空気圧縮機は編成中1台搭載された。補助電源装置は容量6kVAの電動発電機(MG)を編成中1台備えている。
運転台機器
運転台は全室運転台で非貫通形のために横方向に広々としている。おだやかに傾斜した前面窓の下側に計器・灯具類が並べられ、その手前に主幹制御器とブレーキ弁が配される。計器台の右側には押しSWが並べられている。乗務員室内装色は客室と同様に天井がアイボリー、壁面は淡緑色、床面はグレーである。なお、計器台・主幹制御器・ブレーキ弁・その他機器箱については淡緑色に塗られている。